前回の記事の続きですが、東鳴子(鳴子御殿場)に来たのはこの「黒湯の高友旅館」に泊まることが目的でした。
歴史はありそうに見えますが、結構ボロボロです。なおこの後、ボロいボロいと何度か書きますが、褒めていると思ってください。ただしそのニュアンスは誰しもに当てはまらないということもまた心に留めておいていただけると幸いです。要は、かなり人を選ぶであろうということです。写真をクリックするとflickrにて原寸写真が見れますので、許容できるかどうかはご判断ください。
帳場なんかはいかにも鄙びた温泉宿という感じがしていいですね。
チェックインの手続きを済ませて、部屋に案内してもらいます。一応素泊まりの湯治部でも、別途料金で浴衣やタオル、暖房(石油ストーブ)も借りられます。この日はやけに冷えたので、暖房は借りました。
部屋はこんな感じでした。結構部屋のあちこちに痛みが見えます。
こんな感じで複雑に入り組んでるのはいかにも増築を繰り返した温泉宿って感じですが、建物毎にさほど清潔さは変わりない印象でした。宿によっては建てられた時期が全然違って、安くてボロい棟から新しい棟までニーズに合わせて選べるようなところもありますが。
それではまず館内を散策してみます。
子供の声がするので、住み込みの家族がいらっしゃるのかもしれません。
ロビーのようになっている空間には、意味のわからない馬の乗り物などが。
このへんの窓枠なんかは風情を感じますが…
よく見ると建物の傷みが相当激しいんですよね。別の場所ですがこの流しは使用不能です。
謎のホワイトタイガーの剥製?なんかも。
そのまま更に奥を探検……。
うーん、痛んでます。ボロいっす。すごいなー。
更に進むと、入ってきてよかったのか?と思うくらいのゾーンに(笑)。
廃墟ではありません。この宿に宿泊しています(笑)。
※宿泊している棟はここまで荒れてません
さて、気を取り直して温泉です。
温泉のほうの痛みはむしろお湯の強さを表現してくれるので歓迎です(笑)。
一番の名物はやはり黒湯です。混浴ですが、女性専用の湯船もあります。
うーん、すごい。
黒湯というと東京や神奈川の黒湯もありますが、あちらと違い灯油に近いようなツンとしたアブラ臭がします。人によってはこの臭いに当たって気持ち悪くなってしまうそうです。新潟の新津温泉のほうが臭いは強烈でしたが、お湯としてのパンチ力は高友旅館の黒湯のほうが上に感じました。
こういう析出物を見ると嬉しくなりますね。
こちらが女湯です。源泉は同じですが、やっぱり女性もタイミングを見て混浴の浴槽に入ってみることをオススメします(女性専用タイムもあります)。
それと、別の源泉の浴槽もあります。
左が女性専用のラムネ風呂、右が男性専用のひょうたん風呂です。これらの源泉は同じようです。こちらは肌にアワが付く感じのお湯です。
こちらは家族風呂です。まあお風呂でイチャついてアレコレいたしたいカップルは箱根でも行った方が幸せかもしれないですね(笑)。
この旅館はとにかく黒湯だと思います。ただ臭いのせいもあって本当に湯あたりしやすいと思うので気をつけてください。
良い温泉は、そのお湯そのもの持つチカラが強く、つまりお湯や湯気などによって建物の傷みが異常に早かったりするそうで、いわば名誉の負傷とでもいうか、実際にそのようにボロくなっている温泉宿も高友旅館を含め沢山あります。逆に、メンテナンスをしっかりと行い、古き良き風情を保ちつつもキレイに建物を保っている宿も沢山あります。ピカピカの新品旅館になってしまった宿もあります(これは個人的にあまり好みませんが)。
高友旅館は滅びるまま朽ちるままほぼノーメンテ、まさに東鳴子のデカダンスを体現した宿だと感じました。
それが良いのか悪いのかは人それぞれだと思います。泊まった日も、常連と思われる方が何組も泊まっていました。また、基本的に宿泊客のいる日は日帰り入浴ができないようで、そうした常連、宿泊客を大事にする姿勢も好感が持てます(せっかく泊まってるのに、日帰りの人との差別化が特に無い宿はちょっとどうかと思ってます)。
ただ、それであってもせめてトイレはキレイにしてほしいところでしたね。個人的にはその点以外は許容しますしオススメしますが、総合的に言えばかなり上級者向けですのでカクゴを持ってお泊まりください(笑)。
【データ】
住所:宮城県大崎市鳴子温泉字鷲ノ巣18
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取材時期:2013年5月