全国ノスタルジー探訪

現代に残る、身近な過去を探してあちこち歩いてます。

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を見学した

今回はちょっと毛色が違いますが、タイトルのとおり旅行記のような内容になります。

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新婚旅行で中央ヨーロッパを見て回ったのですが、その中でも外せないと思い立ち寄ったのがアウシュヴィッツ強制収容所でした。新婚旅行で出向くことについての他意は特にありません。ありませんってば。


まずはアプローチの仕方から。まず基本的な話でご存じとは思いますがアウシュヴィッツはドイツじゃなくてポーランドにあります。ポーランドでの正式な地名はオシフィエンチムと言います。ポーランドの主要都市のひとつクラクフという都市が一番近く、ここがオシフィエンチムへの拠点になります。

ぼくの旅程の場合、ハンガリーブダペストから夜行列車に乗り、ポーランドクラクフに入りました。

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個室でなかなか快適でした。


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これがクラクフ駅。あやしげな人も何人かうろついてました。



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駅の隣にあるバスターミナルまで行き、アウシュヴィッツ行きの直通バスに乗ります。当時の時刻表はこんな感じ。


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シャトルバスですね。

これに数十分ゆられ、降ろされたところに案内が書いてあるので10分ほど歩くと、入り口に到着します。

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受付でガイドブックやらも買えます。無料ガイドは日本語Ver.もあったような気がします。

でエントランスゾーンを進むと、ARBEITのBを逆さに貼られたという有名な入り口があります。

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ひとくちにアウシュヴィッツとよく言いますが、ここのミュージアムになっているゾーンはアウシュヴィッツとビルケナウというふたつのエリアに分かれています。(↓こんな感じ)「負の世界遺産」としての指定も、このふたつを指しています。

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流れとしてまずはアウシュヴィッツのほうを見学します。

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作りとしてはこういう風に建物が残っており、それぞれの中に色々な展示品やパネルがあるようなスタイルです。


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ちなみに、おそらくですが日本の中高生が広島や長崎、沖縄などを訪れるように、ヨーロッパの学生は修学旅行的にここに来るのが定番になっているのではないでしょうか。この日も中高生くらいの団体が数多くいました。

ただ最初は談笑したりしてるんですが、段々そういう感じも消えて暗くなるんですよね。まあ当たり前ですが。

この辺は取りあげた私物類でしょうか。メガネ、義足類、食器類、鞄類、靴、などなどの生々しい生活用品がおびただしい量積み上げられています。

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ちっちゃくしか貼りませんが(リンク先は原寸大です)、おそらく連れてこられた人の名簿(これもほんの一部で、そもそもこういう登録もせずいきなり「処分」された例も沢山だとか)や、劣悪な環境でひどく痩せた人の写真、そのほか貼りませんがもっとキツい資料写真も結構ありました。
そりゃあ中高生もゲラゲラやってられないでしょうよ…。


あとは、トイレやその他粗末なベッド類など、ほか、地下にある、立って入る牢屋(暗くて撮れませんでした)なども見られました。
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左は銃殺刑にされる人がこの前に立たされたという壁、右は、大戦後にここの所長が絞首刑にされた「ヘスの絞首台」です。


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この有刺鉄線には勿論電流が流れていたそうです。勿論今はそんなの流れてませんが、心境的にちょっと怖いです。逆に、大仁田は何だったんだと思わざるを得ません。

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ドクロマークとかリアルに見ることそうそうないような…。


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そしてこれがガス室です。この得も言われぬ空気の重さは、来てみたからこそ感じるものです…。


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こちらは隣の焼却炉。ここも重いですね…。


このような施設を見学して、精神的にも疲れたので…

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併設のカフェに入りました。


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小腹が空いたのでパスタ(アウシュヴィッツ名物かは不明)っぽいのを頼んでみましたがあまり食が進みませんでした…。



続いてビルケナウ収容所のほうに向かいます。シャトルバスが定期的に出ているのでそれを待って移動します。3kmほど離れているので歩くのはちょっとキツいと思います。

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これがビルケナウ収容所の入り口兼司令塔です。牧場のように広大です。


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これをくまなく歩くのは相当しんどいです。


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しかし、幾つかの建物を覗くと当時の劣悪な環境がよくわかります。いくらなんでもテキトーすぎまいかと。


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まあしかしとにかくだだっ広すぎてサクサクと見て退散することに。疲労困憊です。

でも、来て良かったと感じました。なんというか、人はここまで狂えるんだなと。そして自分もまたそういう風に狂う危うさを常々はらんでいることも気をつけねば、と。オレは絶対大丈夫!と根拠もなく思ってたりとか、自分の正しさを信じて疑わないタイプなんてきっと一番ヤバいのでしょう…。気をつけよう。
ここの空気の重さは本当に体感するに値するものでした。機会があれば是非訪れてみてほしいと感じました。




以下は余談です。

帰りはここから出ているバスで、オシフィエンチム駅まで向かい、そこから鉄道でクラクフに戻りました。
横道に逸れますが、このへんの車両がカッコよすぎてシビレまくってました。

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鈍行の列車で小一時間強ゆっくり揺られクラクフに着きました。

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ヨーロッパは真っ暗になる前の時間が長いのが良いですね。


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広場のカフェでピザなど。


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久々の海外ネタと言うこともあり、移動方法なども絡めてみました(旅行する側になると、この手の情報はすごく欲しくなるものです)。ブログの趣旨的に良いのか否かよくわかりませんが、今後も場合によってはこのようにしてみます。


公式サイト
詳しい行き方などは各種ガイドブック等を参照ください。

取材時期:2011年6月