(前回の続き)
武正米店の店主に、戦前から伝わる桐生の伝統グルメ「もんじ焼き」の店がまだ存在していると教えてもらった私ですが、その後は桐生の街並みがいい感じにレトロ&寂れているのでルンルン気分で散策。「もんじ焼き」の話を思い出したのは大分後になってからのことでした。それからの行動は素早く、まずは速攻でググル先生に質問。そして該当する店の情報ヒット!でも2007年の記事なので今も営業しているかという不安・・・。(参照ブログ:昭和のレトロ食堂)
でもここまで来たら確認せずにはいられない!ということで早速向かったところ、店発見。そして店の前には子供がいる。確かにまだ営業していたのです。
看板がないので、情報がなければまず見落とすであろう外観。目印は今は無きRIOの自販機。
店内に入ると焼き台2つに壁際には駄菓子が陳列。それは私が追い求めている「駄菓子屋もんじゃ」だったのです!否、「駄菓子屋もんじ」か。
店主はご高齢のおばあちゃん。2007年の記事で86歳とのことなので、現在は御年90歳近くか。子供が駄菓子をちょこちょこ買っているので忙しそうだけど暗算に狂いなし。恐れ入る。
待ちながらもんじ焼きの価格表を眺めていて、その価格に驚愕!ほぼ十円。ずっと価格を改定してないらしい。感涙ものです。
念のため注文方法を確認すると、もんじのタネはお玉1杯30円で、そこに好みの具を加えるというシステム。私はタネ3杯にキャベツ、ポテト、ベビースターを注文して合計140円。まさに子供のおやつ価格。ポテトは子供洋食のような味付けポテト。
食べている最中に駄菓子を買っていた子供が戻ってきて、「おばあちゃん、もんじ!」と慣れたように注文を始めた。やはり桐生は「もんじゃ」ではなく「もんじ」で通じているのだ。それにしてもトッピングで「マヨネーズ」なんて頼むあたりが現代っ子らしい。
一通り食べ終わったら、おばあちゃんが「はい、おせんべい」と鉄板にこびりついた残りカスを器用に削ぎ落としてくれた。西新井大師のもんじゃ屋サクライと一緒だ。これが実に美味しいのよ。
私は実家が群馬ですけど、まさか桐生にこのような文化が根付いているなんて知る由もなかったので、この駄菓子屋のもんじ焼きは衝撃の事実でした。戦前より絹織物の街として栄えた桐生は数多くの文化財が残されているけど、この山藤こそ、とびっきりの文化遺産だと私は思うのです。「もんじ焼き」という伝統グルメを守っている数少ない貴重な店なのですから。
思わぬ形でこのような絶滅危惧種の店に出会えたことに心より感謝。
【店舗データ】
住所:群馬県桐生市錦町2丁目1-13 辺り
月曜定休
【2013.3.25追記】
2011年2月に店主が亡くなられて閉店されたそうです。結局この1回しか行くことはできませんでしたが、記憶に深く刻まれたお店でした。ご冥福をお祈りいたします。