全国に旅行に行くときは源泉掛け流しの秘湯などにこだわって行ったりしますが、都内近郊のフツーの循環井戸水銭湯なども好きです。
東京近くにも温泉はあって、黒湯の温泉が割とあったりすることはよく知られています。
同じ湯でも湯量湯温やメンテなどはそれぞれ違っているので、それらを比較する楽しみもまたあるというものです。ちなみに過去記事で鶴見線国道駅付近のことを扱いましたが、そこにあった千代の湯など黒湯を純粋に楽しむという点においてはオススメです。
さて今回はそんな黒湯を有する温泉の中でも別の点で有名な綱島ラジウム温泉 東京園に行ってみます。
東急東横線 綱島駅から徒歩1分のロケーションです。
入園料は900円ですが、1時間以内に出ると400円キャッシュバックしてくれるそうです。これは単なる銭湯として使ったと見なす意味があるようです。別にそこまで太っ腹じゃなくてもいいのに…とおもうところですが。
入り口のところのお土産コーナーのラインナップで、どういう層がターゲットかよくわかります。バーサンに干しイモとかもらって、気持ちは嬉しいけど…っていうパターンは容易に想像できるところです。
下駄箱はなんとイッコも空いておらず(!)、仕方なく上に置いておきます。
中に進むと、アシッドなスペースが広がります。
皆気持ちよさそうにゴロゴロしたり、新聞を読んだり。この亜空間の魔力、すごいです。四六時中仕事のことを考えて月刊プレジデントとか読んでるようなビジネスマンをここに放り込んだら一気に骨抜きダメ人間にすることができるのでは。
まずはお風呂をいただきます。
入ったときは中も大盛況でした。広くて、同じ黒湯で有名な蒲田温泉よりゆったり入れます。当然循環・加温ですが、ちょうどいい湯加減に調整してあって長湯できそうです。風呂場の壁もなんとなくかっこよかったです。お客さんのオッサンたちは大半がガテン系や日雇い系なのでしょうか、作業着で来ている人が多かったです。
風呂からあがってグデーっと畳に足を伸ばします。
瓶コーラの自販機が現役なのも嬉しいです。瓶だと不思議と旨いです。
テラスで風呂上がりに煙草喫いながらビールなんて最高なんでしょうね。煙草は大分前に止めましたが、久々に喫いたくなりました…。中庭もきっと花が咲く季節は見事なのではないでしょうか。
フードコーナーの充実さも目を見張ります。といっても、東京園は持ち込み可なので、宴会などで来ている団体の常連さんは最初から持ち込むようです。しっかりサトウのごはんもあることで、『孤独のグルメ』の名言のとおり、これらのつまみがすべて「おかずとして立ち上がって」くるわけですね。
色々悩んで、ラーメン、ハタハタ、煮込み、春巻き、揚げ物串にコーラとビールとなりました。
これらを、宴会場のほうでいただくこととします。
常連の団体、夫婦、独りで来てるじいさん、親子連れ、そして若輩者たるぼくたち。
この亜空間の雰囲気、本当にたまらないものがあります。知らない老人の歌と社交ダンスをつまみに酒を飲む。このいとおしい空間を味わう最高の贅沢だと感じます。そういえば団体さんたちの一人が入り口で売っていたモナカを仲間たちに配っていました。
(動画も撮らせてもらいました。元ファイルはこちら)
こういうところで若輩者は目上を立てて、振られたら五木ひろしを歌う程度にしておきたいですね。調子に乗って湘南の風とか歌いに来ないように!(カラオケに入ってるか知りませんが)
こうして老人のカラオケをみていたらあっという間に1時間以上経ってしまったので、気を取り直して2階も見てみます。うかうかしていたら一生あそこにいるところでした…危ない危ない。
2階は貸し切りできる小部屋や宴会場があるようです。ある程度の集まりで使うとき安上がりでよさそうです。すごく使い勝手良さそうですが、個人的にはうちからちょっと遠いのが本当に残念です。結婚式とかいいんじゃないでしょうか。
あとポイント高いのは、マッサージチェアが無料だったことです。大抵の温泉施設などでは入場料払って入ってそのうえ有料だったりするのですが、時間の許す限りダータってのは夢のようです。
というわけで、あらゆる人間の欲望と堕落を推奨してやまない東京園の魅力はすごいものでした。気を抜いたら一生抜け出せなくなってしまい、そしてあそこの常連みたいな白髪の姿に……という斬新な童話を思いつきました。どうでしょう。とにかく、自己を強く持っておでかけいただかないと、魅力にハマってヘブン状態になってしまいますのでどうかお気を付けて。
【店舗データ】
住所:神奈川県横浜市港北区綱島1-8-11
営業:10:30〜21:00 無休(大晦日のみ休みらしい)
取材時期:2013年2月