何でもそうですが、大抵のことはネットに書いてある、と思い込んでいるようではダメです。
ネットの情報は、かなり、けっこう、だいぶ偏っているし、不足も多々です。だいたいネットに書く記事のためにネットを参考にするという人が殆ど(まあぼくもですけど…)なので、情報の再生産的なことばかりで、新規、オリジナルな情報が実はあまり出回りにくい実情というのが出始めているのかもしれません。そして自省を込めて、どうやったらオリジナルな情報をご提供できるか、というのは常に意識しています。
そんな悩みを持つ中、ネットに殆ど現れない喫茶店の情報を目にしました。調べるとたま〜にチラッと出てくる、「荻窪の喫茶店 ピエロ」という文字列。
でも情報は殆どなし。潰れたのかしら?と思い色々調べると、そんなことはなくきちんとありました。
個人の散策記や、お知り合いらしき人のブログなどの情報から大体の位置を割り出し、あとはgoogleマップで舐めるように見ていると、とある場所に「ピエロ」と書いてある建物を発見、ストリートビューでもほぼそれと判断できたので、実際行ってみることにしました。
実は、幼少の頃に見た何かの映画かアニメの影響で、ピエロがちょっと怖いんですよね(笑)。
こう見るとなんか腰が引けるのです…。
更に、
この外観です。いわゆる「お察し」な案件に見えてしまいます(笑)。
でも防犯連絡所なんだよな…。
う〜んとこの付近を何周か歩いて迷った挙げ句、意を決して入店しました。
店内はウッディーな内装で、とてもいい雰囲気です。一人の客が座る大きい寄り合いテーブルと、何席か4人がけの半個室のような席がありました。
店主がやさしく声をかけてくれ、ふつうにコーヒーを発注。うーん、外のイメージと全っ然ちがう…。
店主もマダムもとても優しい感じで、「うちは初めてでしたっけ?」と声をかけてくれたので、ここに来た経緯や自分が色んな店巡りをしていること、けっこう近所に住んでいること、そして「情報が無かったので、地図を探したら見つけたので来れました」と言うと、「そうなんだ、わざわざ凄いねぇ」とご主人。情報非公開なのは、あくまで常連さんのためを思ってのこと。いわゆる一見さんばっかりがドッとくると迷惑だからということでした。これはどっちかというとどこにいっても一見さんに属するぼくとしても耳の痛い話です…。
しかしご主人、昔は旅人で全国を何周もしたりとか色々やっていたようで、その辺の話も興味深く聞かせてもらいました。また店内には『散歩の達人』がなんと創刊号から揃っており、その他の面白そうな本も充実していました。
最後に、写真を撮らせてほしいとお願いするとご夫婦で快諾してくれました。
しかし、フィルムカメラの露出系がイカれてたせいで完全に顔が潰れてしまいました…。ごめんなさい。
というわけで、コトの背景を知らないででの情報非公開とかアレな外観とか、そういったことだけで「怖い、気むずかしい」みたいに判断しちゃあだめですね、という素晴らしい喫茶店でした。何事も、きちんと首を突っ込んでみないとわからないものですね。
【住所】非公開(最寄りは荻窪駅です)
【営業】詳細不明・土日もやってるようです
取材時期:2012年3月